この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
図書館の蔵書検索には「カーリル」がおすすめ。


読書メモ

2015年6月刊。

  • 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
  • 地球にいる人間全員が一斉にレーザー・ポインターを月に向けたら、月の色は変わるでしょうか?
  • ステーキを高いところから落として、地上に到達したときにちょうど食べごろに焼けているようにするには、どのくらいの高さから落としたらいいですか?

のような、あり得ない(でも好奇心をくすぐられる)質問に、科学や数学を駆使して回答する、サイエンス・ユーモア。
宇宙ネタ多し。

限られた情報から、推測して、概算で見積もって、果敢に回答を提示する。
TED Talk でも話題になったらしい。

添えられているマンガの、棒人間のゆるい雰囲気がたまらない。
ちょっと線を加えるだけでポニーテールになったり、表情豊か。


この本 この行

地球が回る軌道に達するのが難しいのは、宇宙が高いところにあるからではない。
軌道に達するのが難しいのは、猛スピードを出さなければならないからだ。(中略)

宇宙に到達するのは難しくない。問題なのは、宇宙に留まることだ。
低地球軌道の重力は、地表での重力とほとんど同じぐらい強い。国際宇宙ステーション(ISS)は地球の重力に縛られたままだ。私たちが地表で感じている重力の約90パーセントの強さの重力で引っ張られている。

落ちて大気圏に戻ったりしないためには、横方向に、ものすごいスピードで飛ばなければならない。 軌道に留まるために必要な速度は、秒速約8キロメートルだ。実のところ大気圏の外まで上昇するために使われるロケットのエネルギーは、ごく一部に過ぎない。エネルギーの大部分は軌道速度(横方向の)を出すために使われるのだ。(p.242)

引用メモ

Q: 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
A: ボールの前にある空気分子には、わきへよける時間がない。ボールは分子に激突し、空気分子はボールの表面の分子と核融合するだろう。衝突のたびに大量のガンマ線が放射され、核融合によって生じた粒子が周囲に拡散されるだろう。(p.17)
大気圏に再突入宇宙船が熱くなるのは、宇宙船が自分の前にある空気を圧縮するからだ(よく言われるように、空気の摩擦で熱くなるのではない)。(p.114)
宇宙から戻ってくる物体は猛烈に熱くなる。物体が大気圏に突入するとき、あまりに高速になっているので、空気はその物体をよけるだけの時間がない。このため、落ちてくる物体の前でどんどん空気が圧縮されていく。そして、圧縮された空気は熱くなる。大雑把に言うと、だいたいマッハ2を超える速度になると、空気の圧縮による過熱を感じるようになる。(p.139)
Q: 地球に普通に飛んでいる飛行機を、太陽系のほかの天体の上空で飛ばそうとしたらどうなりますか?
A: ガソリンエンジンは植物のある惑星の空でしか役に立たないので、電気モータを使わなければならない。植物がない惑星では、酸素は大気中に留まらない――ほかの元素と結合して二酸化炭素や錆のようなものにしまうのだ。(中略)ガソリンエンジンが働くためには、空気中に酸素がなければならない。(p.177)

関連サイト

著者の TED Talk の動画。(9分29秒)



xkcd: Engineer Syllogism
本書の元になった著者のサイト


ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか

ランドール・ マンロー 早川書房 2015-06-24
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読書メモ

2015年6月刊。
キャッチーなタイトルで思わず手に取る。

「できない人」は、自分の能力を判断する力が無いので、できる人と勘違いしてしまう。
「できる人」は、自分の足りないところまで気が回るので、自己評価が低くなりがち。
…と著者は言う。

タイトルのこと以外で、後半に書かれていたのが「一人になる時間も大事」だということ。
これは同感。


引用メモ

「ポジティブになろう」といったスローガンが世の中に広まりすぎたため、元々楽観的すぎる人、物事を深く考えない人による勘違いが横行している感がある。そういったスローガンは、元々ネガティブに考えすぎる人に向けたものなのである。(p.35)
能力の低い人ほど自分の能力を著しく過大評価しており、逆に能力のとくに高い人は自分の能力を過小評価する傾向があることを実証してみせた。(中略)
それに加えて、これら一連の実験によって証明されたのは、能力の低い人は、ただ何かをする能力が低いというだけでなく、自分の能力が低いことに気づく能力も低いということであった。 まさにこのことが、「なぜか仕事のできない人ほど自信をもっている」ということの理由といえる。(p.40)
群れたがる人は、相手の異質性を認めることができない。相手の感受性や考えが自分と違うことが気に入らない。そのままの相手を認めることができない。ゆえに、相手が共感してくれなかったり、賛同してくれなかったりすると、ムキになって相手を否定し、こちらに合わさせようとする。(p.155)
甘えというのは、相手と自分にズレがあることを受け入れず、一心同体であるかのように思い込もうとする心理である。幻想的な一体感を理想とし、それが持てない相手を自分の世界から排除しようとする。甘えが強く、自他の分離ができていないのだ。相手も同じように感じたり考えたりするのでないと気が済まない。
そのようなタイプは、もちろん自分の方もできるだけ相手に合わせようとする。自分も無理をしてでも合わせているんだから、相手もこちらに合わせるべきだという感覚を持つ。 ゆえに、合わせない相手に対しては「許せない」という思いが湧き、感情的な反応を示したりする。(p.156)
一人になることで、世界は狭まるどころか、逆に世界は広がる。本を読んだり、想像の世界に遊んだり、思索に耽ったりすることによって、想像力が飛翔し、さまざまな言葉の連鎖が広がっていく。
ゆえに、情報や刺激を遮断して自分に浸る時間をもつべきだ。ぼっちでいられる自律的な姿勢は逞しさのあらわれであり、カッコ悪いどころかカッコいいのだ。ぼっちをカッコ悪いとみなす風潮があるが、それを改める必要がある。(p.216)

薄っぺらいのに自信満々な人 (日経プレミアシリーズ)

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この本 この行

私が思うのは、日本人のお金の使い方で、"中くらい" の額にこそ問題があるのではないか、ということです。
100円単位、1000円単位の買い物まではうまい。チラシやネットに目を凝らし、満足度をそれなりに得ています。いっぽう数千万単位であれば、誰でも慎重に慎重に行動するでしょう。
ところが、1万円から100万円単位のお金の使い方がなんとも下手なのです。これがうまく使えていないから、幸福感が台無しになっている。結果、孤独感を克服することができない。私はそう考えています。(p.25)

読書メモ

2015年6月刊。
お金の上手な使い方をアドバイスする本。

調査によると、先進国の中で日本人の幸福度は最下位なのだそうだ。

著者の言う「中くらいの幸せ」とは、自分の夢を実現した時に得られるような「大きな幸せ」と、日常生活の中で得られるような「小さな幸せ」の間にあるもの。

「大きな幸せ」や「小さな幸せ」はお金とは無縁だが、「中くらいの幸せ」はお金をうまく使うことでもっと幸福感を大きくできると著者は言う。

自分は「幸せを買う」という言葉は好きではないが、「時間や手間をお金で買う」というのは同感。
お金は貯めるだけじゃなくて、適材適所に使っていくことでこそ活きてくる。


引用メモ

私はこう考えています。
「幸せには3つの種類がある。"大きな幸せ" も "小さな幸せ" もお金とは無縁だが、"中くらいの幸せ" をゲットするには、お金の使い方がカギになる」(p.13)
日本人は亡くなる時、平均3000万円もの資産を残しているそうです。お金を天国に持っていくことはできないのに。(p.26)
将来のリスクに対して、すべてお金でなんとかしようと思ってはいけない、と私は思います。お金だけで回避しようとしても、絶対に足りなくなりますから。 しかも、そのお金を準備していくプロセスで、日々の幸せを大きく毀損してしまう可能性だってあるのです。未来のお金の不安は、「一生働けるスキルや生活できるコミュニティを手に入れる」ことでこそカバーすべきだと思います。(p.27)
何を外注して、何を自分でやるのか。
そこにこそ人生の美学が表れるんです。クリーニングもそうですし、掃除もそう。お願いしてみたら、こんなに余裕ができるのかと感心するかもしれません。プロに委ねれば、自分の時間にゆとりができる。
そう考えると、何でも自分でやろうとして時間貧乏になるということこそ、最も避けないといけないことです。(p.106)
いま一度、断言したいと思うのです。
これからのお金は、「物語」を生み出すことに投じたほうがいいことを。どれだけ「物語」を増殖させ、どれだけ人との絆を豊かにできるのか。これがあなたの「中くらいの幸せ」感を決定します。(p.230)
最後に「お金とは何か」について、私の見解をシンプルに語っておこうと思います。
お金とは「ありがとうのしるし」です。だから、ありがとうを言ってもらえる場所にこそ使ったほうがいいし、使うべきです。それが、最もお金が喜んでくれる、お金の使い方です。そのことを忘れないでください。
「ありがとう」を言ってもらえる場所に使われたお金は、「物語」を生み、絆を増殖させます。こうして「ありがとう」が循環していくことになるのです。(p.235)

(太字は引用者による)

中くらいの幸せはお金で買える (単行本)

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