この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
図書館の蔵書検索には「カーリル」がおすすめ。

2015年04月


読書メモ

2013年12月刊。
NHKの職員向け内部資料を市販用にアレンジした、時代考証の虎の巻。

「時代考証」とは、歴史ドラマや戦中・戦後のドキュメンタリーなどの制作時に「史的に余計なものを取り除く」作業のこと。

例えば、「座布団」は明治以降に普及したものなので時代劇では使うべきではないとか、馬の「蹄鉄」は明治に西洋から輸入されたので時代劇では NG とか。

知的な雑学満載で、歴史があまり得意でない私でも、とても楽しく読めました。
10,000ページを超えるという「考証メモ」を吟味して、文庫サイズで市販してくれたことに感謝!


引用メモ

ドラマの時代考証とは、番組で取り上げられる史実・時代背景・美術・小道具等をチェックして、なるべく史的に正しい形にしていく作業です。(p.21)
完全な史実ではないフィクションだからこそ考証は大事なのです。ドラマに求められるのは「正しい史実」ではなく「こうだったらいいな」というフィクションの面白さです。架空の世界をよりそれらしく見せるために考証ほど頼りになるツールはありません。(p.26)

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)

大森 洋平
文藝春秋 2013-12-04
by ヨメレバ


読書メモ

2014年8月刊。
前半は、柳家小三治へのロングインタビュー。このインタビューは貴重だと思う。
後半は、小三治の主要落語演目90席の紹介。多い!

300ページを超える厚い本なので、前半のインタビュー部分だけ読もうと思っていたら、面白くて最後まで読んでしまった。


引用メモ

芝居じゃないんだ、と。落語は。「おはなし」なんだ、って(師匠の小さんは)言ってましたよ。「おはなし」って何だろう、と思って、色々こう考えるわけですよ。その、「お前の噺は面白くないな」って言われたことから派生してね。(p.24)
私の噺の根本は、「こういうの、あるよね!」っていう、その共感。(p.27)
本を素読みにしても面白いものを、節つければ面白いのは当たり前なんで。俺がやりたいのは、本を素読みにしても面白くないものを、噺家がやると、こんなに面白くなるのかい、って噺にしたいわけ。(p.42)

なぜ「小三治」の落語は面白いのか?

広瀬 和生
講談社 2014-08-07
by ヨメレバ


読書メモ

2015年3月刊。
セゾングループ、山一證券、中島飛行機など、かつて存在していた10の巨大企業の始まり、繁栄、そして終焉。

渋谷パルコ前の「区役所通り」を「公園通り」という名前に変えたのはセゾンだったとは。

指南役さんは物語をドラマチックに書くのがうまい。
短い文で、臨場感たっぷりな文体、好きです。


引用メモ

今でこそ渋谷のランドマークといえば、若い女性たちの聖地・SHIBUYA109を思い浮かべるが、1970年代から80年代にかけて、その位置にあったのは公園通りの「パルコ」だった。(p.126 セゾングループ)
それまで「区役所通り」と呼ばれていた坂道を「公園通り」と呼び名を変え、さらに道沿いに「VIA PARCO」の看板を掲げた。要は、渋谷駅からのアプローチもパルコの演出するアイテムの1つとして考えたのだ。
1973年6月、渋谷パルコがオープンし、同館は瞬く間に社会現象となった。(p.129 セゾングループ)
今では信じられないが、戦前の日本は飛行機大国だった。中島飛行機を筆頭に、三菱重工業や川崎航空機工業といった世界有数の航空機メーカーがしのぎを削り、ゼロ戦をはじめ、隼、飛燕、紫電改などの名機を世に送り出した。当時は民間航空機の需要が少なかったので、大半は陸海軍の軍用機だった。(p.187 中島飛行機)
絶滅企業たちには1つの共通点がある。それは――過去の成功神話に胡座をかき、気がつけば独善的になり、時代遅れになっていたこと。
それらの淘汰は、ほぼこれで説明がつく。(p.257 終章)

絶滅企業に学べ! 今はなき人気企業に学ぶ10の「勝因」と「敗因」

指南役
大和書房 2015-03-21
by ヨメレバ


読書メモ

2014年11月刊。
還暦を過ぎた人など、大人のための文章講座。

推敲はほんと大事。


引用メモ

他人の批評を受け入れられない。彼らが残念なのは、その一点です。(中略)
人間として自分にプライドを持っていることは決して悪いことではありません。しかし、他人の批評に腹を立てたり、言い訳をして我を押し通そうとするのは、本当の意味でのプライドではなく、たんなる意固地であり、我執ではありませんか。(p.23)
もっともらしい意見は書かれていますが、それは何もこの作者にしか書けないことではない。だれにでも言えるような、ごく良識的な正論ばかりに占められています。
こういう文章を書いてしまうのは、文章とはだれに読まれてもなるほどと納得してもらえるような立派なことを書かなければならないと作者が思いこんでいるからです。(p.51)
自分の書いた文章には、どうしても書いたときの思惑や興奮がまだ染みついています。そこに「ちょっとここが分かりづらいかも」とか、「この形容でもっといい言葉はないかな」というふうに、批評的に突き放す視点が必要になるのです。
推敲をしていると、こういう場合はこういうふうにする、という自分なりの一貫した方針というか、流儀のようなものが次第に出来あがっていくものです。それがひいては、あなた特有の「文体」になっていきます。(p.103 推敲しよう)

書きたいのに書けない人のための文章教室

清水 良典
講談社 2014-11-27
by ヨメレバ


読書メモ

2015年2月刊。
巨大さと精密さが同居した、大型工場・施設の見学レポート。

週刊東洋経済の連載「成毛眞の技術探検」の書籍版。成毛さんがこんな本を書くとは意外。
「桁違い」を見ることのススメ。


引用メモ

道路や鉄道の地下トンネルは、総重量がやはり2000トンもある巨大なシールドマシンを使って、数キロメートルも地中を掘り進む。しかし、数カ月後に目的の地点に到達しても、計画から数ミリ程度しかずれていなかった。現場の技術者にとっては常識だという。ぼくのような素人が、その緻密さに心底驚愕することに、むしろ驚いていたほどだ。(p.112)
個人間にしろ、国家間にしろ、トラブルの遠因は視野の狭さにあると思う。
地球と他の惑星を比較する視点があれば、戦争など起こらないかもしれない。半径50センチの目の前で怒り狂っている人がいても、半径50キロの範囲に何万人という多様な人々が住んでいるかを想像できれば、イライラすることもなくなるかもしれない。(p.114)

メガ! :巨大技術の現場へ、ゴー

成毛 眞
新潮社 2015-02-18
by ヨメレバ

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