この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
図書館の蔵書検索には「カーリル」がおすすめ。

2015年07月


読書メモ

2015年5月刊。弁理士による「商標」のはなし。
タイトルが秀逸。中身も面白い。

商標として登録できるかは「目印」であるかどうかが基準となる。
JR舞浜駅を「東京ディズニーランド駅」という駅名にしなかった理由も、それが関係しているらしい。


引用メモ

ビールに「ライジングサン」と名づけて販売することを考えついたとしたらどうでしょう。(中略)
では、ライジングサンを日本語に訳してみてください。「朝日」になります。あの「アサヒビール」の「アサヒ」と似ていませんか。これは意味が同じであるため、商標法的にはアウトとなります。(p.4)
同じ知的財産権でも、特許は20年で権利が切れてしまいますが、商標権は更新を続けていく限り、永遠に持ち続けることができます。(p.8)
本については、内容そのものである文章は作者の創意によるものとして、著作権法で守られますが、タイトルは守ることができません。だからでしょうか、出版業界ではヒット作が出ると、似たような書名の本が次々に刊行されていきます。(p.28)
商標に関してご相談に来られる方は、少しでも違う部分があればOKと考えていたりします。しかし、それは大きな間違いであり、とても危険な考え方です。
アルファベットをつけたり、1文字変えたり、「プレミアム」などの言葉をつけて商売をし、そこに大きな意味がないとされると、商標の違いとしての判断の基準にしてもらえなくなります。(p.77)
「ゴマ抽出物を含有する麦茶風味の清涼飲料」に「胡麻麦茶」を登録しようとしても、それは商品そのものであるため認められないと考えるのが一般常識というものでしょう。
しかし、「SUNTORY 胡麻麦茶」となると登録できます。これは目印となる「SUNTORY」を頭につけたことによって、全体として目印にできたことで登録の条件をクリアできたからです。(p.125)
商標が登録されたあと、一定期間、その商標を使わないと、その権利が取り消されてしまうことがあるのです。
なぜ使わないと取り消されてしまうのでしょうか。これは、登録商標は「使うこと」を大前提として特許庁が許可を与えているからです。(p.139)

関連サイト

本書で紹介されていた、特許庁の検索サイト「J-PlatPat」。
商標検索が無料で行える。


社長、その商品名、危なすぎます! (日経プレミアシリーズ)

富澤 正
日本経済新聞出版社 2015-05-09
by ヨメレバ


読書メモ

2015年2月刊。街で見かけたBADなUIを集めた本。
照明スイッチ問題(赤と緑のどっちがON?)や、水道の蛇口問題(止めるにはレバーを上げる?下げる?)などなど。

豊富な写真を見ているだけでも楽しい。写真は著者のサイトにも多数あります。
字が小さいのが難点。

引用メモ

設計者は一般的にそのユーザーインターフェースの使い手として達人クラスになっています。人は慣れてしまうとどうしても問題に気付きにくく、操作に必要な情報が十分に提示されていなくても使用できてしまいます。そうした設計者にとって、初めて使う初心者の立場になってユーザインターフェースを考えることはとても難しいものです。(p.7)
「何故良くできたユーザインターフェースではなくBADUIを扱うのですか?」という質問を受けることがあります。(中略)人を惑わせない良くできたユーザインターフェースは、ほとんどユーザが悩むことなく利用できてしまうため、よほどユーザインタフェースに興味がない限りその良さに気付きにくく、印象に残りにくいものです。(中略)一方、BADUIは困ったり悩んだりしてしまうため、何が悪いのかという点に気づきやすく、印象に残りやすいものです。(p.12)

関連サイト

楽しいBADUIの世界 | 1日1 Bad User Interface
この本の元となった著者のサイト


失敗から学ぶユーザインタフェース 世界はBADUI(バッド・ユーアイ)であふれている

中村 聡史 技術評論社 2015-01-21
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by ヨメレバ

大泉エッセイ 僕が綴った16年 (角川文庫)

大泉エッセイ 僕が綴った16年 (角川文庫)

  • 作者:大泉 洋
  • 出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2015-04-25

読書メモ

2013年刊。2015年4月文庫化。
1997年(24歳)〜2005年の連載エッセイと、2013年, 2015年(40歳)の描き下ろしエッセイ。
後半の描き下ろしが面白かった。『水曜どうでしょう』の自己分析も。

引用メモ

私はあの番組(『水曜どうでしょう』)には唯一他の番組がやったことのない、独自の新しい手法があると思っている。それは「カメラが演者を撮らない」という手法だ。これは日本のバラエティー史上に残る発明的手法だと思う。(p.328)
一つの作品を作れば、大量の宣伝をしなくてはならない。テレビ、雑誌、ラジオ、ネット媒体、様々なものに露出して宣伝しないと、今の時代、ドラマにしても映画にしても、多くの人に観てもらうことはできないのだ。(中略) その結果、私の「ローカルタレント感」はかなり薄れてしまったかもしれない。(p.352)
実際、私の北海道のレギュラー番組は十年前からほとんど変わっていない。北海道での活動に大きな変化はないのだ。変わったのは、役者の仕事が増えたということなのだ。さらに訳者の仕事はバラエティーに比べると、圧倒的に時間がかかるのである。そりゃそうだ。映画なんかになれば、1日で4、5分の映像しか撮れない、なんてことはざらにある。 だから、東京にいる時間が必然的に増えてしまうのだ。(p.352)

大泉エッセイ 僕が綴った16年 (角川文庫)

大泉 洋 KADOKAWA/メディアファクトリー 2015-04-25
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読書メモ

2015年5月刊。
1996年に日本でスターバックスを立ち上げるまでの物語。
手がけたのはアフタヌーンティーを展開していた「サザビー」という聞き慣れない会社だった。

半分ぐらい読んだところで、ようやく日本のスターバックスの1号店が開店。
日本1号店での最初の注文が「ダブルトールラテ」だったのは有名な話だが、まさかその客が米国CEOのシュルツ氏本人だったというのは衝撃の事実。


引用メモ

でも種明かしをすれば、この最初の男性客は、シュルツ氏本人だったのです。ブランドのトップが、海外1号店に自らおもむき、オープンとともに最初のオーダーを入れる。それは日本における「スターバックス体験」の幕開けにふさわしい演出でした。いや、誰もそんなことをシナリオに描いていたわけではありません。天性のマーケターのシュルツが、即興で実演したのでした。(p.143)
スコーンは米国スターバックスで販売しているものを冷凍で輸入し国内製造業者に焼成してもらい、店舗で販売するようになりました。この商品は、おむすびのような三角形をしていて話題になりましたが、これはケガの功名で、米国製のスコーンがあまりに巨大で、日本では半分に切って商品にしたため、三角形の姿になったのでした。(p.239)

日本スターバックス物語──はじめて明かされる個性派集団の挑戦

梅本龍夫
早川書房 2015-05-22
by ヨメレバ


読書メモ

2015年5月刊。料理研究家を研究した本。
女性史(主婦像の変遷)についても触れられている。
料理はまったくしない自分でも、意外に面白く読めた。

自分は「料理本は、内容が陳腐化しない本だ」と思っていたけど、食材は時代によって変わるので、レシピ本も時代とともに進化していく、というのは新鮮な考え方だった。

タイトルでは2人だけに触れられているが、初期の料理研究家から時代を追いながら、多くの料理研究家が紹介されている。
小林カツ代が「料理の鉄人」で勝利して脚光を浴びた、というのは知らなかったなぁ。


引用メモ

「よく、失敗を恐れるなといいますが、料理やお菓子は、失敗するとほんとにがっかりしてしまいます。夕食のおかずはこれっきりというときに、とても食べられたものじゃない料理が仕上がったら、どんなにか情けないと思います」「むつかしい料理も、凝った料理も、やさしくつくったっていいではありませんか」(p.103 小林カツ代)
「一番最初に私の料理をやって失敗しちゃったら、私のこと嫌いにならない? やっぱり料理って難しいなって思わない? 裏切らないようにしたいなっていうことだけですね。あなたのレシピは信頼できる、それで料理が好きになったと言われたら、最高の私へのプレゼントですね」(p.153 栗原はるみ)
小林は、西洋料理、中華料理、日本料理とジャンル分けされた料理を外で食べてきたベースがある。対して栗原は、実家で和食を、結婚相手の家で洋食をと、食べてきたものが家庭料理中心だったため、ジャンルにこだわりがなかったと思われる。(p.143)
ほうれん草も昔はアクが強かったが、今では生で食べられるほど、アクが少ない品種が開発されている。食材の質は時代によって変わる。同時代の食材に合わせた調理法を伝えるのも、料理研究家の大事な仕事だ。(p.107)

小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)

阿古 真理 新潮社 2015-05-16
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