この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
図書館の蔵書検索には「カーリル」がおすすめ。

2015年08月


読書メモ

2015年6月刊。

  • 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
  • 地球にいる人間全員が一斉にレーザー・ポインターを月に向けたら、月の色は変わるでしょうか?
  • ステーキを高いところから落として、地上に到達したときにちょうど食べごろに焼けているようにするには、どのくらいの高さから落としたらいいですか?

のような、あり得ない(でも好奇心をくすぐられる)質問に、科学や数学を駆使して回答する、サイエンス・ユーモア。
宇宙ネタ多し。

限られた情報から、推測して、概算で見積もって、果敢に回答を提示する。
TED Talk でも話題になったらしい。

添えられているマンガの、棒人間のゆるい雰囲気がたまらない。
ちょっと線を加えるだけでポニーテールになったり、表情豊か。


この本 この行

地球が回る軌道に達するのが難しいのは、宇宙が高いところにあるからではない。
軌道に達するのが難しいのは、猛スピードを出さなければならないからだ。(中略)

宇宙に到達するのは難しくない。問題なのは、宇宙に留まることだ。
低地球軌道の重力は、地表での重力とほとんど同じぐらい強い。国際宇宙ステーション(ISS)は地球の重力に縛られたままだ。私たちが地表で感じている重力の約90パーセントの強さの重力で引っ張られている。

落ちて大気圏に戻ったりしないためには、横方向に、ものすごいスピードで飛ばなければならない。 軌道に留まるために必要な速度は、秒速約8キロメートルだ。実のところ大気圏の外まで上昇するために使われるロケットのエネルギーは、ごく一部に過ぎない。エネルギーの大部分は軌道速度(横方向の)を出すために使われるのだ。(p.242)

引用メモ

Q: 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
A: ボールの前にある空気分子には、わきへよける時間がない。ボールは分子に激突し、空気分子はボールの表面の分子と核融合するだろう。衝突のたびに大量のガンマ線が放射され、核融合によって生じた粒子が周囲に拡散されるだろう。(p.17)
大気圏に再突入宇宙船が熱くなるのは、宇宙船が自分の前にある空気を圧縮するからだ(よく言われるように、空気の摩擦で熱くなるのではない)。(p.114)
宇宙から戻ってくる物体は猛烈に熱くなる。物体が大気圏に突入するとき、あまりに高速になっているので、空気はその物体をよけるだけの時間がない。このため、落ちてくる物体の前でどんどん空気が圧縮されていく。そして、圧縮された空気は熱くなる。大雑把に言うと、だいたいマッハ2を超える速度になると、空気の圧縮による過熱を感じるようになる。(p.139)
Q: 地球に普通に飛んでいる飛行機を、太陽系のほかの天体の上空で飛ばそうとしたらどうなりますか?
A: ガソリンエンジンは植物のある惑星の空でしか役に立たないので、電気モータを使わなければならない。植物がない惑星では、酸素は大気中に留まらない――ほかの元素と結合して二酸化炭素や錆のようなものにしまうのだ。(中略)ガソリンエンジンが働くためには、空気中に酸素がなければならない。(p.177)

関連サイト

著者の TED Talk の動画。(9分29秒)



xkcd: Engineer Syllogism
本書の元になった著者のサイト


ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか

ランドール・ マンロー 早川書房 2015-06-24
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読書メモ

2015年6月刊。
キャッチーなタイトルで思わず手に取る。

「できない人」は、自分の能力を判断する力が無いので、できる人と勘違いしてしまう。
「できる人」は、自分の足りないところまで気が回るので、自己評価が低くなりがち。
…と著者は言う。

タイトルのこと以外で、後半に書かれていたのが「一人になる時間も大事」だということ。
これは同感。


引用メモ

「ポジティブになろう」といったスローガンが世の中に広まりすぎたため、元々楽観的すぎる人、物事を深く考えない人による勘違いが横行している感がある。そういったスローガンは、元々ネガティブに考えすぎる人に向けたものなのである。(p.35)
能力の低い人ほど自分の能力を著しく過大評価しており、逆に能力のとくに高い人は自分の能力を過小評価する傾向があることを実証してみせた。(中略)
それに加えて、これら一連の実験によって証明されたのは、能力の低い人は、ただ何かをする能力が低いというだけでなく、自分の能力が低いことに気づく能力も低いということであった。 まさにこのことが、「なぜか仕事のできない人ほど自信をもっている」ということの理由といえる。(p.40)
群れたがる人は、相手の異質性を認めることができない。相手の感受性や考えが自分と違うことが気に入らない。そのままの相手を認めることができない。ゆえに、相手が共感してくれなかったり、賛同してくれなかったりすると、ムキになって相手を否定し、こちらに合わさせようとする。(p.155)
甘えというのは、相手と自分にズレがあることを受け入れず、一心同体であるかのように思い込もうとする心理である。幻想的な一体感を理想とし、それが持てない相手を自分の世界から排除しようとする。甘えが強く、自他の分離ができていないのだ。相手も同じように感じたり考えたりするのでないと気が済まない。
そのようなタイプは、もちろん自分の方もできるだけ相手に合わせようとする。自分も無理をしてでも合わせているんだから、相手もこちらに合わせるべきだという感覚を持つ。 ゆえに、合わせない相手に対しては「許せない」という思いが湧き、感情的な反応を示したりする。(p.156)
一人になることで、世界は狭まるどころか、逆に世界は広がる。本を読んだり、想像の世界に遊んだり、思索に耽ったりすることによって、想像力が飛翔し、さまざまな言葉の連鎖が広がっていく。
ゆえに、情報や刺激を遮断して自分に浸る時間をもつべきだ。ぼっちでいられる自律的な姿勢は逞しさのあらわれであり、カッコ悪いどころかカッコいいのだ。ぼっちをカッコ悪いとみなす風潮があるが、それを改める必要がある。(p.216)

薄っぺらいのに自信満々な人 (日経プレミアシリーズ)

榎本 博明 日本経済新聞出版社 2015-06-09
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この本 この行

私が思うのは、日本人のお金の使い方で、"中くらい" の額にこそ問題があるのではないか、ということです。
100円単位、1000円単位の買い物まではうまい。チラシやネットに目を凝らし、満足度をそれなりに得ています。いっぽう数千万単位であれば、誰でも慎重に慎重に行動するでしょう。
ところが、1万円から100万円単位のお金の使い方がなんとも下手なのです。これがうまく使えていないから、幸福感が台無しになっている。結果、孤独感を克服することができない。私はそう考えています。(p.25)

読書メモ

2015年6月刊。
お金の上手な使い方をアドバイスする本。

調査によると、先進国の中で日本人の幸福度は最下位なのだそうだ。

著者の言う「中くらいの幸せ」とは、自分の夢を実現した時に得られるような「大きな幸せ」と、日常生活の中で得られるような「小さな幸せ」の間にあるもの。

「大きな幸せ」や「小さな幸せ」はお金とは無縁だが、「中くらいの幸せ」はお金をうまく使うことでもっと幸福感を大きくできると著者は言う。

自分は「幸せを買う」という言葉は好きではないが、「時間や手間をお金で買う」というのは同感。
お金は貯めるだけじゃなくて、適材適所に使っていくことでこそ活きてくる。


引用メモ

私はこう考えています。
「幸せには3つの種類がある。"大きな幸せ" も "小さな幸せ" もお金とは無縁だが、"中くらいの幸せ" をゲットするには、お金の使い方がカギになる」(p.13)
日本人は亡くなる時、平均3000万円もの資産を残しているそうです。お金を天国に持っていくことはできないのに。(p.26)
将来のリスクに対して、すべてお金でなんとかしようと思ってはいけない、と私は思います。お金だけで回避しようとしても、絶対に足りなくなりますから。 しかも、そのお金を準備していくプロセスで、日々の幸せを大きく毀損してしまう可能性だってあるのです。未来のお金の不安は、「一生働けるスキルや生活できるコミュニティを手に入れる」ことでこそカバーすべきだと思います。(p.27)
何を外注して、何を自分でやるのか。
そこにこそ人生の美学が表れるんです。クリーニングもそうですし、掃除もそう。お願いしてみたら、こんなに余裕ができるのかと感心するかもしれません。プロに委ねれば、自分の時間にゆとりができる。
そう考えると、何でも自分でやろうとして時間貧乏になるということこそ、最も避けないといけないことです。(p.106)
いま一度、断言したいと思うのです。
これからのお金は、「物語」を生み出すことに投じたほうがいいことを。どれだけ「物語」を増殖させ、どれだけ人との絆を豊かにできるのか。これがあなたの「中くらいの幸せ」感を決定します。(p.230)
最後に「お金とは何か」について、私の見解をシンプルに語っておこうと思います。
お金とは「ありがとうのしるし」です。だから、ありがとうを言ってもらえる場所にこそ使ったほうがいいし、使うべきです。それが、最もお金が喜んでくれる、お金の使い方です。そのことを忘れないでください。
「ありがとう」を言ってもらえる場所に使われたお金は、「物語」を生み、絆を増殖させます。こうして「ありがとう」が循環していくことになるのです。(p.235)

(太字は引用者による)

中くらいの幸せはお金で買える (単行本)

藤原 和博 筑摩書房 2015-06-25
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この本 この行

そのやり方は、それまでわれわれが学び、実行していた方法とは全く違っていた。われわれのやり方は地図上に定規で線を引き、折れ曲がる地点に円弧定規でカーブを挿入する方法だった。(中略)ところがドルシュ(ドイツから来た道路計画の専門家)は(中略)等高地図上にフリーハンドで線形を描けという。そして、その自由に描かれた線を基礎に、円定規とクロソイド定規を使って、工学的に計算できる線に置き換えるのである。クロソイドとは曲率が徐々に変化する曲線系の一つである。結果として、高速道路の線形は流れるように美しく、周囲の地形に調和したものになる。(p.193)

読書メモ

2015年5月刊。
日本の道路の歴史。太古の昔の道路から、現代の高速道路まで。
著者は、高速道路の計画や建設に携わってきた人。

高速道路を建設しようとすると、不思議と古代の遺跡(道路や古墳)と重なることが多いのだそうだ。そして、それには理由がある。

以前、NHK で見た『日常にひそむ数理曲線』で紹介されていた「クロソイド曲線」のことが出てきて、おお! と思った。
(インターチェンジのカーブの形は「クロソイド曲線」と言って、 ハンドルを一定の速度で回し続けたときの車の経路と同じになるように設計されている)

実に渋い本。


引用メモ

昔は情報も人が自ら移動して伝えるものであり、敏速な交通手段が必要だった。(p.34)
島の名前にもなっている淡路とは「阿波路」つまり「阿波へ行く道」の意味である。(p.55)
ローマの道以来、西欧では馬車が通ることが基本であったが、わが国では騎馬を基準とした時代は遠く去り、近世ではもっぱら徒歩を基準とする構造であった。(p.128)
戦後の昭和21年(1946)に4409人であった全国の交通事故の死者数は昭和34年(1959)には一万人に達し、「交通戦争」の言葉も生まれた。(中略)
戦後急増していたその数は、(中略)昭和45年の16765人を頂点として次第に減少し、シートベルト着用の義務化、飲酒運転の厳罰化、自動車の安全機能の向上などもあって、平成26年(2014)は4113人となり、14年連続で5000人を下回り、過去最悪であった昭和45年の死者数の4分の1以下になった。今後もさらに漸減することが期待される。(p.207)
以前は立体横断施設(横断歩道橋や地下横断歩道)の設置が主流であった。しかし、これは自動車優先であって歩行者に一方的に負担を強いるものとして、今日では横断歩道を復活して、歩行者の負担軽減を図る場合もあり、考え方は多様化している。(p.208)
日本は土地が少なく極限まで有効利用するから、そのために道路が必要なのである。日本は「道路王国」ではなく、「道路がなくては生きてゆけない国」であり、「道路を公のものとして大事にしてきた国」なのである。(中略)昔の道路は99%までは現在も道路である。昔の道筋をたどれないところはほとんどない。(中略)日本では昔から道はほとんどすべて公道であった。そして大切にしてきたのだ。たとえそれが帯のように細いものだったとしても。(p.229)

(太字は引用者による)


関連リンク

この本を読んだきっかけの記事。↓

「クロソイド曲線」のことが紹介されている映像作品。↓

日常にひそむ数理曲線 DVD-Book

ナレーション:太田光(爆笑問題) ポニーキャニオン 2010-07-16
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道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書)

武部 健一 中央公論新社 2015-05-22
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読書メモ

2015年5月刊。
市制100周年記念で作られた、昭和10年代から60年代までの写真集。
税込9,990円。限定2000部。図書館で借りて読んだ。ずっしり重い。

100年前から既に「市」だった街は、そうそう無いはず。
昔の繁栄ぶりがうかがえる。

当時の八王子の街の中心は、甲州街道。
特に、西放射線通りと甲州街道が交わる八日町交差点の写真が多い。
デパートも、大丸・伊勢丹・西武など、たくさんあった。

八王子駅前から北西に伸びる西放射線通りが、昭和40年代は左右の歩道にアーケードがあって、車も通行できたとは知らなかった。(それで、今は歩行者専用道路の割には、道が妙に広いのか!)

忠実屋のマーガレットのロゴマークが懐かしい。
長崎屋(現ドン・キホーテ)の前にある小さな広場は、昔はロータリーだったとは。


引用メモ

昭和14年、甲州街道の路面電車線路の撤去作業がおこなわれた。戦争激化により、金属回収がおこなわれたのである。武蔵中央電気鉄道が開通させた路面電車は、昭和13年に京王電気軌道が買収、翌年、線路のレールが供出され、路面電車は廃止になった。(昭和14年、p.54)
八日町交差点から駅方向に伸びる放射線通り。昭和40年代は歩道にアーケードが設置されていた。(p.93)
八日町交差点から横山町方面の眺望。甲州街道に沿って大丸百貨店、菊屋が、右側には第一勧銀、伊勢丹のビルの一部が見える。横山町の商店街の繁栄ぶりがうかがえる。昭和54年には伊勢丹、同59年には大丸が閉店する。(昭和49年、p.130)

関連サイト

『写真アルバム 八王子市の昭和』株式会社いき出版
出版元の商品紹介ページ


八王子市の昭和―写真アルバム

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