この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
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カテゴリ: 書評/読書メモ


読書メモ

2015年11月刊。
盛岡の街の本屋さん「さわや書店フェザン店」の店長さんが語りかける、本屋の目指す姿。
やさしい口調と、ひたむきで真摯な姿勢。

街の本屋さんは、限られた本棚のスペースを、生身の書店員さんが「耕す」。
そう、本屋は農業だったのだ。


引用メモ

実際、伊藤さんは本には”旬”があるといつも語っていました。新刊だから旬だというわけではない。古い本でも旬がやってくる。そのタイミングで、いかにお客さまに提案ができるか。それが書店員には問われるのだ、と。(p.26)
ムックというのは、形式は雑誌ですが定期的に刊行されるものではありません。magazine(雑誌)とbook(書籍)の中間的な存在であることから、このように呼ばれています。週刊誌は返品期限が45日、月刊誌は60日。いずれは消えていくことになりますが、ムックには返品期限がありません。だから、ムックをどう使うかで、自分の店らしい雑誌コーナーの特徴を作っていくことができます。(p.68)
最近では、出版社から新刊が出るかなり前の段階で、書店員にゲラが渡されるような動きが増えました。事前に中身がわかっていれば、新刊が出たときに売りやすいのではないか、という出版社の考えからでしょう。率直な感想を聞かせてほしい、と意見を求められることもあります。(p.94)
ゲラを読ませてもらってから実際に本が出るまでは、だいたい1ヶ月から数か月です。じっくりたっぷり準備ができます。こういうチャンスをもらえることこそ、書店員の醍醐味の一つだと思うわけです。(p.95)
一冊の本の向こうに、数限りなくある規則性や類似性、意外性のバランスを取りながら生身の書店員によって組まれる本屋の棚は、ネット書店では味わえないものです。(p.153)
「本の未来」と「本屋の未来」は違います。本の持つ可能性に、本屋がどのように寄り添い続けることができるのか。業界として、地域として、本屋として、そして書店員として。(p.160)

みなさんのレビュー(読書メーターより)

まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す

田口 幹人 ポプラ社 2015-11-14
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はじめよう!  要件定義 ~ビギナーからベテランまで

はじめよう! 要件定義 ~ビギナーからベテランまで

  • 作者:羽生 章洋
  • 出版社:技術評論社
  • 発売日: 2015-02-28

読書メモ

2015年4月刊。
ソフトウェア開発の「要件定義」の解説書。
要件定義の基礎から実践例がコンパクトにまとめられた本。
分量も少なく、かわいいイラスト付きで、読みやすい。

本書では、クラス図に似た画面遷移図(表示項目・入力項目・操作項目が枠の中に書かれている)が提唱されている。

あえて記載範囲を要件定義に絞って書かれているところがミソ。
要件定義のことがコンパクトにまとまった書籍としては貴重な存在かも。


引用メモ

自分は要件を定義さえすればよい、作るのは後工程だから自分は詳しいことは知らなくてもよい、と考えて定義した要件は得てして実務に耐えられません。要件定義という作業が終わったことになっているにもかかわらず、後工程で要件定義をやり直さないとプログラミングができないということになるなら、それは自分が行った要件定義は役目を果たさないものであった、つまり価値がなかったということです。(p.30)
「操作性の統一」というお題目は耳に心地良いものです。しかし、不合理で非直感的で使い勝手の悪い操作性に統一されても困るのです。(p.120 共通化について)
要件定義における作成担当者の内部レビューとは何か。言い換えると、内部レビューの成果は何かというと想定問答集です。
そして重要なのは、そのような想定問答が予測されるなら、その質問自体が発生しなくても済むように、資料自体に自明となるように手を加えることです。(p.163)
本書の肝をひと言でいうなら「画面遷移図を描こう」になります。ここでいう画面遷移図とは、本書で紹介した画面と画面の間にイベントと機能を図示するものです。つまり要件定義とはこの画面遷移図を描くことができればほぼOKであり、それ以外は実は要件定義そのものではなく、その直後の工程で行なうべき作業だということです。(p.166)

(太字は引用者による)


関連リンク(この本を読むきっかけとなった記事)

糞システムにしないため、私ができること『はじめよう! 要件定義』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる


はじめよう! 要件定義 ~ビギナーからベテランまで

羽生 章洋 技術評論社 2015-02-28
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読書メモ

2015年8月刊。
日本経済新聞に1ヶ月間連載された「私の履歴書」をまとめた、欽ちゃんの自叙伝。

苦労した下積み時代から、テレビでの絶頂期、そして73歳で入学した大学生活。
読みやすい文章でスルスルと読める。優しさがにじみ出ているような語り口。

後半の書き下ろしの、大学生活の話がよかった。
入学の理由のひとつは「新しいものをつくりだす武器になるはず」。
まだまだ現役。


引用メモ

僕はあんまり謙虚な人間ではない。そんな僕を叱りつけ、励まし、助けてくれた人たちが大勢いる。この本で改めて気がついたけれど、世の中恩人だらけだ。(p.4)
(長男の)一童は浪人中、「大学を出て銀行に勤めたい」と言うので、僕は「大学に行って無駄だったな、と思うような仕事しなよ」と助言した。しばらくすると、「俺、大学行かないで弁当屋で働くよ」。「それ、最高だね」と僕は褒めた。弁当屋さんで汗をかきながら人間や社会を見るんだ。
「なんでそうなるの!!」と(妻の)澄子さんはあきれ返った。「あんたの影響で3人ともわけのわかんない人生送っているじゃないの!」と怒ってる。(p.167)
(大学生活について)付け焼き刃じゃない本物の教養を身につけたい、そんな気持ちも強くありました。教養は簡単に自分のものになるわけではないけれど、「挑戦してみよう」と考えた。それが新しいものをつくり出す武器になるはずなんだ、と思っている。(p.173)
「講義を疑うことが大事ですよ。自分で本を読んだり考えたりして、意見をどんどん言ってください。それが大学で学ぶということなんです」。教授のこの言葉に感動した。(p.184)
ダメなやつほどダメじゃない ―私の履歴書

萩本 欽一 日本経済新聞出版社 2015-08-20
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田んぼアートのキセキ

田んぼアートのキセキ

  • 作者:葛西 幸男
  • 出版社:主婦と生活社
  • 発売日: 2015-07-17

読書メモ

2015年7月刊。
舞台は「田んぼアート」の村、青森県の田舎館(いなかだて)村。
著者は、ここの副村長さん。

冒頭のカラー写真集が楽しい。
10種類の稲を使って、アートを表現しているのだそう。

田んぼアートの完成度は、遠近法を取り入れる前と後で段違い。
現在は、真上ではなく、ななめ横(展望台)から見たときにキレイに見えるように、計算して作られている。

田んぼアートの見学者は、年間で数万人も来るとのこと。
そんなに人気だったとは知らなかった。


引用メモ

「富士山と羽衣伝説」は10種類の稲で表現した絵柄。(p.25)
ひと口に「稲で文字を描く」と言っても、実際にやるとなると簡単ではありません。
現在では田んぼアートの作図はパソコン上で作製し、役場の職員が測量を行って、図面を田んぼ上に落とし込んでいきます。(p.36)
現代の稲作に欠かせない存在といえるのが、種もみを発芽させ、田植えのできる大きさまで育てる「育苗農家」の存在です。苗の生育には水の与え方や温度管理など、デリケートな作業が求められるため、ハウス内で行われます。(p.102)
紫色の稲は研究所では同じ水田に違う品種の苗を植える際の、境目に目印として植える品種として、使用していました。
品種の境目はテープを張って区別する方法もありますが、稲穂が風に揺れて混じってしまうこともあるのです。それをハッキリと区別するためには一定の幅で、境目に色のついた稲を植えたほうが分かりやすいんです。(p.147)

(太字は引用者による)


関連リンク

田んぼアートの村 | 田舎館村
青森県田舎館村のホームページ


田んぼアートのキセキ

葛西 幸男 主婦と生活社 2015-07-17
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この本、この行

若い皆さん、老眼というのはある日突然やって来るのです。(p.12)

読書メモ

2015年8月刊。15年目に突入した、朝日新聞の連載エッセイ。
本巻の掲載期間は、2013年8月から、2014年10月まで。

前巻では、愛犬が亡くなったり、新しい奥さんが来たりいろいろあったけど、今回はプライベートは穏やかな期間だったみたい。

100分間のワンシーンワンカット(長回し)の『大空港2013』、観たい。

かみさんは、この本を読んで、老眼鏡 リーディンググラスを買いに行く決心をした。


引用メモ

本来自分は一脚本家である。既に決まった企画を受けて、プロデューサーの意向に従ってホンを書く。それが僕の仕事のやり方だったはず。(p.33)
「フラ」というのは、舞台用語と言っていいのだろうか、落語家や喜劇俳優がよく使う言葉。ステージに出た瞬間、お客さんがなんだか笑ってしまう、そんな「雰囲気」のこと。それは技術でどうにかなるものではなく、持って生まれたものだ。(p.72)
僕は、自分で演出をするようになってから、取材で「役者の新しい一面を引き出すのがうまいですね」と言われることがある。とんでもない話だ。新しい一面なんか、どうすれば発見出来るのか、僕にはさっぱり分からない。(p.115)
我ながら、唖然となる。僕はこの14年間、一体何をしてきたのだ。脂が乗ったはずの40代を、自分は無駄に過ごしてきたのではないか。依然として、プロフィルに載る代表作は、舞台は「笑の大学」、ドラマは「王様のレストラン」、映画は「ラヂオの時間」。すべて、この連載が始まる前に作ったもの。なんということだ。
これだから、過去を振り返るのは嫌なのだ。たまに振り返ると、こんな感じになる。(p.130)
18年前とは違い、今の僕は分かっている。長年の経験で得た知恵がある。ここまで大きな壁ではなかったけど、これまでだって、何度も壁にはぶつかってきた。だが、壁というものは、ゴールの近くにあるものなのである。だから、壁にブチ当たった時は、「ようやくここまで来たぞ」と、むしろ喜ぶべきなのだ。(p.182)
三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫

三谷幸喜 朝日新聞出版 2015-08-20
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