この本この行: 読書メモと引用メモ


書評未満。読書感想文未満。
読んだ本のエッセンスと引用を、コンパクトに書き留めています。読書のきっかけになれば幸いです。
図書館の蔵書検索には「カーリル」がおすすめ。

カテゴリ: 知識教養


この本この行

個人的には、社会が許容できる範囲を示すのが規制だと思うんですよ。車の制限速度で考えてみてください。本当に人にリスクがないスピードだと5〜10km/hが精一杯。でも、それじゃあ、物流に支障をきたしますし、社会が成り立たない。そのために社会が許容できる線引きをするのが規制なんです。(p.121)

読書メモ

2015年7月刊。
例の「首相官邸落下事件」の後に書かれた、ドローン(小型無人飛行機)の今。
ドローンを使った犯罪の可能性について、多くのページを割いて検証されているのが印象的。

海外では、すでにドローンを積極的に使っている国も実際に存在している。
新しいテクノロジー対して「危ないからダメ」ばかりじゃなくて、「うまく活用していくには、どうしたらいいだろう?」という視点を持ちたい。


引用メモ

「ドローンはロボットと人間の共生の第一幕を開く」
「ドローンの未来に必要なのは世論の同意」
本書を手に取ってくれた方々が本を閉じる際に、このふたつの論点について少しでも同意していただければ幸いだ。(p.8 はじめに)
カナダはドローンに対する規制やルール作りを早くから行なってきた国家だ。2008年にはすでに、35kg以下の機体のルール作りが完成。すでに1000社が認証され、合法的に空を飛び、発電所や送電線の監視にドローンが実用化されてきた。(p.64)
その活用における自由度の高さは、ドローンの活動領域が空中にあるということはもちろん、さまざまなペイロード(搭載物)を組み合わせられるところにあるだろう。カメラを搭載すれば空撮機に、商品を搭載すれば配送機にと、ドローンはペイロードによって多様な姿に変貌する。(p.84)
ドローンをはじめロボットや最新テクノロジーを実用化しようとすると、必ずふたつの問題が持ち上がる。
ひとつは、安全性の問題。(中略)
そして、もうひとつの問題が、人間と共生できるか否かという問題である。(p.102)
最初からルールを軽視している者にとって、それを「守る」か「破る」かの判断基準は、自分にとって「損」か「得」かというものでしかない。
そういう者に対しては結局のところ、協力は反撃体制で備えるか、厳罰をもって臨むしかないだろう。 しかし世の中には、「ルールがあるなら、守らなければならない」と考える人の方がより多く存在しているはずだ。そういう人々に向けて、多くが納得できるルール作りをすることは、ドローンの安全な運用と普及を図る上で、とても重要になってくる。(p.164)
ドローンの衝撃 (扶桑社新書)

河 鐘基 扶桑社 2015-07-02
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この本この行

既に家庭に浸透している洗濯機や掃除機などの機械は、人間の手間を省くもので、それらが普及する前に比べて生活は格段に楽になった。
だが、人々は必ずしも楽になっても幸せにはなっていない。むしろ手間がかかり、頼りないペットの方が人々を幸せにしているのではないだろうか。
ここにペッパーのヒントがある。開発リーダーの林は言う。「何もできないロボットが人々を幸せにする可能性がある」。従来は人が必要とするロボットを作っていたが、ペッパーは人を必要とするロボットとなる。 (p.48)

読書メモ

2015年6月刊。
「情報革命で人々を幸せに」を長年の経営理念として掲げる、ソフトバンクの孫正義。
この本は、比較的最近の「経営者」としての彼を見つめる。
ロボット「Pepper(ペッパー)」開発の背景も。
本人へのインタビューも豊富なので、最近は SNS から遠ざかっている孫正義の「今」が見れる。


引用メモ

日本でインターネットやスマホが普及するきっかけを作ったのは孫だ。無料で ADSL モデムを配り、ネット環境を整え、米アップルの iPhone を導入し、モバイルインターネットの時代を切り開いた。(p.35)
間違いなく生活は「便利」になった。ただ便利になれば「幸せ」になるわけではない。詳しく述べるまでもなく、常時のネット接続で人々は仕事に追われ、ネットを使った犯罪の高度化などの負の側面もある。便利な道具は、上手に使いこなせる人もいれば、悪用する人もいるのが世の常だ。(p.35)
「知恵に相当するのがソフトウェアであり、知識に相当するのがデータ。世界中の人々の英知を集め、それをまるで一つの固まりのように全部集める。それがバンクだよ。世界中の人々の知恵と知識のバンク。それが社名にソフトバンクとつけた理由だよ。」(p.58)
ソフトバンクは今でこそ歴然たる大企業だが、2006年に携帯電話事業に参入するまでは自他共認めるベンチャー企業だった。(p.142)
孫正義の焦燥 俺はまだ100分の1も成し遂げていない

大西 孝弘 日経BP社 2015-06-16
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読書メモ

2015年6月刊。

  • 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
  • 地球にいる人間全員が一斉にレーザー・ポインターを月に向けたら、月の色は変わるでしょうか?
  • ステーキを高いところから落として、地上に到達したときにちょうど食べごろに焼けているようにするには、どのくらいの高さから落としたらいいですか?

のような、あり得ない(でも好奇心をくすぐられる)質問に、科学や数学を駆使して回答する、サイエンス・ユーモア。
宇宙ネタ多し。

限られた情報から、推測して、概算で見積もって、果敢に回答を提示する。
TED Talk でも話題になったらしい。

添えられているマンガの、棒人間のゆるい雰囲気がたまらない。
ちょっと線を加えるだけでポニーテールになったり、表情豊か。


この本 この行

地球が回る軌道に達するのが難しいのは、宇宙が高いところにあるからではない。
軌道に達するのが難しいのは、猛スピードを出さなければならないからだ。(中略)

宇宙に到達するのは難しくない。問題なのは、宇宙に留まることだ。
低地球軌道の重力は、地表での重力とほとんど同じぐらい強い。国際宇宙ステーション(ISS)は地球の重力に縛られたままだ。私たちが地表で感じている重力の約90パーセントの強さの重力で引っ張られている。

落ちて大気圏に戻ったりしないためには、横方向に、ものすごいスピードで飛ばなければならない。 軌道に留まるために必要な速度は、秒速約8キロメートルだ。実のところ大気圏の外まで上昇するために使われるロケットのエネルギーは、ごく一部に過ぎない。エネルギーの大部分は軌道速度(横方向の)を出すために使われるのだ。(p.242)

引用メモ

Q: 光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?
A: ボールの前にある空気分子には、わきへよける時間がない。ボールは分子に激突し、空気分子はボールの表面の分子と核融合するだろう。衝突のたびに大量のガンマ線が放射され、核融合によって生じた粒子が周囲に拡散されるだろう。(p.17)
大気圏に再突入宇宙船が熱くなるのは、宇宙船が自分の前にある空気を圧縮するからだ(よく言われるように、空気の摩擦で熱くなるのではない)。(p.114)
宇宙から戻ってくる物体は猛烈に熱くなる。物体が大気圏に突入するとき、あまりに高速になっているので、空気はその物体をよけるだけの時間がない。このため、落ちてくる物体の前でどんどん空気が圧縮されていく。そして、圧縮された空気は熱くなる。大雑把に言うと、だいたいマッハ2を超える速度になると、空気の圧縮による過熱を感じるようになる。(p.139)
Q: 地球に普通に飛んでいる飛行機を、太陽系のほかの天体の上空で飛ばそうとしたらどうなりますか?
A: ガソリンエンジンは植物のある惑星の空でしか役に立たないので、電気モータを使わなければならない。植物がない惑星では、酸素は大気中に留まらない――ほかの元素と結合して二酸化炭素や錆のようなものにしまうのだ。(中略)ガソリンエンジンが働くためには、空気中に酸素がなければならない。(p.177)

関連サイト

著者の TED Talk の動画。(9分29秒)



xkcd: Engineer Syllogism
本書の元になった著者のサイト


ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか

ランドール・ マンロー 早川書房 2015-06-24
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この本 この行

そのやり方は、それまでわれわれが学び、実行していた方法とは全く違っていた。われわれのやり方は地図上に定規で線を引き、折れ曲がる地点に円弧定規でカーブを挿入する方法だった。(中略)ところがドルシュ(ドイツから来た道路計画の専門家)は(中略)等高地図上にフリーハンドで線形を描けという。そして、その自由に描かれた線を基礎に、円定規とクロソイド定規を使って、工学的に計算できる線に置き換えるのである。クロソイドとは曲率が徐々に変化する曲線系の一つである。結果として、高速道路の線形は流れるように美しく、周囲の地形に調和したものになる。(p.193)

読書メモ

2015年5月刊。
日本の道路の歴史。太古の昔の道路から、現代の高速道路まで。
著者は、高速道路の計画や建設に携わってきた人。

高速道路を建設しようとすると、不思議と古代の遺跡(道路や古墳)と重なることが多いのだそうだ。そして、それには理由がある。

以前、NHK で見た『日常にひそむ数理曲線』で紹介されていた「クロソイド曲線」のことが出てきて、おお! と思った。
(インターチェンジのカーブの形は「クロソイド曲線」と言って、 ハンドルを一定の速度で回し続けたときの車の経路と同じになるように設計されている)

実に渋い本。


引用メモ

昔は情報も人が自ら移動して伝えるものであり、敏速な交通手段が必要だった。(p.34)
島の名前にもなっている淡路とは「阿波路」つまり「阿波へ行く道」の意味である。(p.55)
ローマの道以来、西欧では馬車が通ることが基本であったが、わが国では騎馬を基準とした時代は遠く去り、近世ではもっぱら徒歩を基準とする構造であった。(p.128)
戦後の昭和21年(1946)に4409人であった全国の交通事故の死者数は昭和34年(1959)には一万人に達し、「交通戦争」の言葉も生まれた。(中略)
戦後急増していたその数は、(中略)昭和45年の16765人を頂点として次第に減少し、シートベルト着用の義務化、飲酒運転の厳罰化、自動車の安全機能の向上などもあって、平成26年(2014)は4113人となり、14年連続で5000人を下回り、過去最悪であった昭和45年の死者数の4分の1以下になった。今後もさらに漸減することが期待される。(p.207)
以前は立体横断施設(横断歩道橋や地下横断歩道)の設置が主流であった。しかし、これは自動車優先であって歩行者に一方的に負担を強いるものとして、今日では横断歩道を復活して、歩行者の負担軽減を図る場合もあり、考え方は多様化している。(p.208)
日本は土地が少なく極限まで有効利用するから、そのために道路が必要なのである。日本は「道路王国」ではなく、「道路がなくては生きてゆけない国」であり、「道路を公のものとして大事にしてきた国」なのである。(中略)昔の道路は99%までは現在も道路である。昔の道筋をたどれないところはほとんどない。(中略)日本では昔から道はほとんどすべて公道であった。そして大切にしてきたのだ。たとえそれが帯のように細いものだったとしても。(p.229)

(太字は引用者による)


関連リンク

この本を読んだきっかけの記事。↓

「クロソイド曲線」のことが紹介されている映像作品。↓

日常にひそむ数理曲線 DVD-Book

ナレーション:太田光(爆笑問題) ポニーキャニオン 2010-07-16
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道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書)

武部 健一 中央公論新社 2015-05-22
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読書メモ

2015年5月刊。
市制100周年記念で作られた、昭和10年代から60年代までの写真集。
税込9,990円。限定2000部。図書館で借りて読んだ。ずっしり重い。

100年前から既に「市」だった街は、そうそう無いはず。
昔の繁栄ぶりがうかがえる。

当時の八王子の街の中心は、甲州街道。
特に、西放射線通りと甲州街道が交わる八日町交差点の写真が多い。
デパートも、大丸・伊勢丹・西武など、たくさんあった。

八王子駅前から北西に伸びる西放射線通りが、昭和40年代は左右の歩道にアーケードがあって、車も通行できたとは知らなかった。(それで、今は歩行者専用道路の割には、道が妙に広いのか!)

忠実屋のマーガレットのロゴマークが懐かしい。
長崎屋(現ドン・キホーテ)の前にある小さな広場は、昔はロータリーだったとは。


引用メモ

昭和14年、甲州街道の路面電車線路の撤去作業がおこなわれた。戦争激化により、金属回収がおこなわれたのである。武蔵中央電気鉄道が開通させた路面電車は、昭和13年に京王電気軌道が買収、翌年、線路のレールが供出され、路面電車は廃止になった。(昭和14年、p.54)
八日町交差点から駅方向に伸びる放射線通り。昭和40年代は歩道にアーケードが設置されていた。(p.93)
八日町交差点から横山町方面の眺望。甲州街道に沿って大丸百貨店、菊屋が、右側には第一勧銀、伊勢丹のビルの一部が見える。横山町の商店街の繁栄ぶりがうかがえる。昭和54年には伊勢丹、同59年には大丸が閉店する。(昭和49年、p.130)

関連サイト

『写真アルバム 八王子市の昭和』株式会社いき出版
出版元の商品紹介ページ


八王子市の昭和―写真アルバム

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