読書メモ

2015年7月刊。
期間限定サイト「村上さんのところ」(2015年1月〜5月)でやりとりされた、読者からの質問・相談メールと、村上春樹からの返信メール 3716 通の中から 473 通が選りすぐって掲載されている本。
(すべての返信メールは、電子書籍の「コンプリート版」で読めるとのこと)

彼の作品を1冊も読んだことがない自分が読むのも何なのだけれど、人気本のようだし、図書館で借りられたので読んでみた。

意外と面白い。ノージャンルならではの面白さ。
分量が多くて読むのが大変だけれど、途中でやめるのがもったいない魅力がある。
村上春樹の回答が親切。
スワローズファンで、猫好き。

彼のファンのことは「ハルキスト」ではなく「村上主義者」と呼ぶのが公認の呼び方なのですね。


引用メモ

Q: 村上さんは、自分のことを純文学者だと思われますか?

A: 僕が「これは純文学だ」と意識して小説を書いているかというと、とくにそんなことはありません。でも心の底で「これは娯楽小説ではない」という意識はいくらかあります。娯楽小説ではないというのは、言い換えれば、作者が読者に対してある種の、ある程度の努力を要求することだろうと僕は考えています。言うなれば、咀嚼力を要求するということです。「ここから先は自分の歯で嚙んでくださいね」ということです。(p.40, No.081)
Q: 村上さんが相手にメッセージを伝える時に意識している事は何ですか?

A: 親切心です。それ以外にありません。親切心をフルに使ってください。それが文章を書く極意です。おもねるのではなく、親切になるのです。(p.52, No.105)
Q: 彼女は村上さんの本が好きではありません。どちらかというと嫌いです。さらに困ったことに、彼女の母が(中略)こういったことは今後の人生で問題になるのでしょうか?

A: 奥さんと奥さんのお母さんというのは、すごく大事です。よく話を合わせておいた方がいいと思います。「村上春樹なんて、ほんと、かすみたいなやつだよね」とか「あんなやつの本なんて、まったく紙の無駄遣いですよ。社会の恥だ」とか好き放題言ってかまいません。そして陰でこそこそ僕の本を読み続けてください。それこそが「村上主義者」の真骨頂です。(p.64, No.132)
Q: 村上さんは、自分のファンがどのように名付けされて、ファイリングされるかという事に、どのようにお考えですか?

A: このサイトでは「村上主義 (Murakamism)」あるいは「村上主義者 (Murakamist)」という呼び名でいちおう統一しております。誰がこしらえたのかは知りませんが、「ハルキスト」というのは語感がいささかチャラいので、とりあえず無視しませんか。(p.110, No.225)
Q: 私はこの「大変だったでしょう」という言葉になんて返せばいいのでしょう?

A: まわりの人たちはあなたをなんとか慰めたいと思うんだけど、うまい言葉を見つけられないだけなんです。みんながうまい言葉を見つけられるわけじゃないんです。そのことを理解してあげてください。言葉というのは本当にむずかしいものです。僕がそんなときになんと答えるか? 「ええ、ずいぶん大変でした。ありがとうございます」と答える以外にないんじゃないですか? (p.114, No.232)

(太字は引用者による)


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